世界の竹と中国の竹。中国の竹パルプ産業を調べてみた

世界の竹と中国の竹。中国の竹パルプ産業を調べてみた

2021年現在、バンブーロールは中国の竹を活用して生産をしています。中国の竹とその産業についてご紹介します。

竹の種類について

竹はイネ科の植物(木ではなく草)で世界に1000を超える種類が生息しています。日本ではマダケ(真竹)、モウソウチク(孟宗竹)、ハチク(淡竹)が多いとされています。一方で中国には中国だけに生息するというジチク(慈竹)という竹があります。

マダケ(真竹)は直径15cm程度、高さは20mほどにもなる大型種で、節には環が2つあり、節間が長く、材質部は薄いのが特徴です。弾力性があることから建築や竹細工に利用されてきました。苦竹ともいって、たけのことして食すにはやや苦い印象があり、市場ではあまり見かけません。また、竹の皮は無毛で黒褐色の斑点があり、食料品等の包装にも使われてきました。

モウソウチク(孟宗竹)は真竹よりもやや太く直径18cm程度、高さは22mほどにもなる大型種です。日本の自生種ではなく、江戸時代に中国から持ち込まれた記録があるようです。節には環が1つで、節間が比較的短く、材質部が厚いのが特徴です。弾力性に欠けることから建築や農漁業用資材として利用されてきましたが、かごなどの編組には向かず、古くからたけのことして食されてきました。

ハチク(淡竹)は直径3~10cm程度、高さは15mほどの大型種です。耐寒性があり、比較的寒い地域にも生育しています。節には環が2つあり、細く割りやすいため茶道用具として使われてきました。たけのこは市場ではあまり見かけません。

中国で竹パルプ産業が発達した背景のひとつに、ジチク(慈竹)は節間がとても長く繊維を取り出しやすいという性質があるようです。またジチクは野生の動物(主にパンダ)の食糧にはならない種類とされています。

非木材パルプの製紙業の発達

中国は、森林を中心にパルプ業が発達してきた日本とは異なり、非木材パルプを使った製紙業が古くから発達していました。

「熱帯林業」(NO.55 2002年刊行)の「中国の林業・林産業」(志水一充)によると「中国はおもに麦稲のワラ、バガス 、竹、アシなどの非木材資源を原料として低質紙を生産してきた。1998年の非木材パルプ生産量は16百万トンで、森林資源の制約から、木材パルプ生産量は224万トン、輸入木材パルプが220万トンとなっている。」

つまり、1998年時点で非木材パルプが約8倍生産されていたことになります。

世界各国の現在の状況を見てみましょう。国連食糧農業機関(FAO)が開示している世界の非木材の国内製造量は2020年現在、中国が522万トン、日本が5000トン、アメリカ合衆国が14万トンとなっています。

なお中国における竹林の面積は600万ha(※1 2014年公表数字)におよびます。それに対して日本の16万ha(※2 2012年公表数字)とされています。

 

いかがでしたでしょうか?
中国、またここでは割愛しましたが東南アジアでは、竹をはじめとしてケナフ、ワラなどの非木材のパルプ活用が盛んな背景には、その素材の性質の違いと、産業構造の違いがあることがわかりますね。



参考記事
「熱帯林業」(NO.55 2002年刊行)の「中国の林業・林産業」(志水一充)
https://www.jifpro.or.jp/cgi-bin/ntr/documents/NET5511.pdf

※1 https://china.gov.cn.admin.kyber.vip/xinwen/2014-11/19/content_2780863.htm

※2 https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take-riyou/attach/pdf/index-3.pdf