トイレットペーパーは、何からできているのか?

トイレットペーパーは、何からできているのか?

2020年春、新型コロナウイルス感染症拡大で緊急事態宣言が発令され、ありとあらゆるお店からトイレットペーパーの姿が消えたことは、記憶に新しい人も多いでしょう。緊急時ゆえに生活必需品を買い占めるという行為は、日本だけでなく世界中で起こっていたようです。

2020年3月、経済産業省から「トイレットペーパーは、ほぼ100%国内で生産されている」との通達がありましたが(※)、つまり、トイレットペーパーがどこでつくられているのか、原料はどこから来ているのか、よく知らないという人が多いということではないでしょうか。

そこでこの記事では、日本でつくられるトイレットペーパーの原料はどのようなものか、一部を「製紙産業の現状 パルプ材(日本製紙連合会)」Webサイトより引用して紹介します。


トイレットペーパーの原料は?

私たちがトイレットペーパーを選ぶとき、ほとんどの人は「シングルかダブルか」で選んでいるのではないでしょうか。トイレットペーパーの原料には、古紙、パルプなどの種類があります。

古紙は、いわゆる再生紙の主原料です。かつて昭和の時代には、家庭でいらなくなった紙を、ちり紙やトイレットペーパーと物々交換する「ちり紙交換」事業があったのですが、今となっては知っている人のほうが少ないかもしれません。

パルプは、主に木材を原料とした繊維のことで、水素結合を生じる繊維であれば製紙原料として使用できます。そして木材の他にも、草・藁・竹などからパルプを抽出することもできます。

そして現在、日本国内でつくられる紙および板紙の原料は、60%以上が古紙からつくられるようですが、一方でパルプ材はどこから来るのか、次の段落で詳しく見ていきましょう。


パルプ材はどこから来るのか?

輸入されるパルプ材について、「製紙産業の現状 パルプ材(日本製紙連合会)」によると、輸入されるパルプ材の割合は約70%台で推移しているようです。(以下引用)

“パルプの原料となる木材の2019年の集荷量は、国産材が前年比1.5%減の449万トン、輸入材が同1.2%減の1,160万トン、合計で同1.3%減の1,609万トンとなった。輸入材の割合は70%前後で推移している。

※ パルプ材として利用される木材は、製材残材や、他には使い道の少ない木材、人工林材などが中心である。”

■ パルプ材入荷推移と輸入比率

また輸入先について、「製紙産業の現状 パルプ材(日本製紙連合会)」によると、針葉樹林は米国とオーストラリアの2ヶ国で約8割とのことですが、広葉樹林は年々、地理的に近いアジア地域からの輸入割合が増えているようです。(以下引用)

“針葉樹チップは、米国とオーストラリアの上位2ヶ国で約8割を占めている。広葉樹チップは、ベトナムが6年連続でトップシェアとなっている。10年前と比較すると、地理的に近いベトナム、タイなどのアジア地域からの輸入の割合が増加している。” 

■ パルプ材(チップ)の輸入先 <2019>

パルプ材の原料構成比について、「製紙産業の現状 パルプ材(日本製紙連合会)」によると、国産針葉樹は他に使い道のない木材や間伐された木材、国産広葉樹は計画的に伐採された木材が中心とされており、原料がパルプだからといって、決して森林破壊につながるような伐採はされていないことがわかります。

“国産針葉樹は製材残材など他に使い道のない木材や間伐された人工林低質材、国産広葉樹は計画的に伐採された天然林低質材が中心となっている。

輸入材は、広葉樹が全体の9割近くを占めており、主に製紙用に植林された人工林低質材が中心となっている。” 

■ パルプ材の原料ソース別構成比 <2019>

 

いかがでしたでしょうか。店頭に並んでいるトイレットペーパーには、パッケージに必ず原料が表記されています。「シングルかダブルか」といった視点だけでなく、どこでつくられたものか、その原料はどこから来ているのか、そうした視点を持つことも大切なように思います。

 

(※)経済産業省ホームページに記載がありましたが、現在は市町村のWebサイト(徳島県消費者情報センターなど)で確認することができます。